琴ノ若大関昇進 霧島綱取り失敗 直前場所優勝とサンドイッチ綱取り

2024年1月場所が終わりました。

 

最後は決定戦になりましたが、本割の霧島と決定戦の琴ノ若横綱照ノ富士の連勝で9回目の優勝。場所中に調子を上げてくと言う難しい環境の中での優勝、ここまで来たら、10回目の優勝はぜひとも達成せて欲しいです。照ノ富士に昇進のかかった2人が挑んだ形になりましたが、本割を勝って決定戦に進んだ琴ノ若、本割で負けて決定戦どころか綱取りが一旦白紙に戻る11番の霧島。今場所だけで言うと琴ノ若ですが(相撲内容も一方的な展開ではなく、差し手争い等相撲は取れていた)霧島も優勝2回の実績があります。

それでは、上から順番に行きます。

 

大関霧島】

R4⑪ 西小結2 8‐7

R5① 東小結  11‐4準

R5③ 東関脇2 12‐3優

R5⑤ 東関脇  11‐4

R5⑦ 西大関  6-7-2

R5⑨ 東大関  9-6

R5⑪ 西大関  13-2優

R6① 東大関  11‐4準

の流れでR6①後の昇進はなくなりました。恐らくR6①千秋楽に琴ノ若が勝った時点で優勝の可能性が消えたので、本割に勝っても見送りだったと思います。直前12勝準で上げる積極的実績もないです。まだ、魁皇の当時の星の流れの方が今なら上がれるていう感じです。

 

大関魁皇

大関在位24場所で迎えた大関魁皇のH16の成績

H16① 東大関2 10‐5

H16③ 西大関  13‐2準

H16⑤ 西大関  10‐5

H16⑦ 東大関  11‐4

H16⑨ 東大関  13‐2優(魁皇最後の5回目の優勝)

H16⑪ 東大関  12‐3準

これで、見送りです。当時だと無理な成績ですが、H16⑪時点で大関在位30場所、H16年は全て2桁勝利、年間勝利数69勝、直前3場所36勝、直前2場所25勝、直前実績:優+準 13と12の星の並びが逆なら昇進は当時でもあり得ます。実績も直前場所優勝なら当時でも行けたはずです。

見送りとなって

H17① 東大関  4‐6‐5休

以降けがと付き合いながらの苦しい土俵が続きますが、正直この時に上がっていれば、長期休養(3場所全休位のイメージです)を経て、短いながらも横綱で優勝2回位くらいは行けたと思います。

 

魁皇の成績と比較すれば、R6③場所の霧島の昇進条件は13勝同点が最低限って事になりますが、12勝優勝か13勝次点でどうなるかが非常に微妙です。12勝だと同点でも論外。今まで直前場所12勝の昇進は何度も触れてますが、大鵬若乃花Ⅲの2例です(柏戸除外:理由は以前に書いています)。

こうなると今場所(R6①)の11勝の評価ですが、まずは千秋楽まで霧島本人に優勝の可能性が残っていたという点が重要です。11勝の3位だと綱取り白紙ですが、間に11勝以下の星をはさんだ昇進例がないわけではなく、来場所は明言はされていなくても、14勝なら無条件、13勝なら同点以上くらいのラインになりそうです。

 

◎11勝以下をはさんだ昇進例

横綱千代の山 13優‐12優‐9‐11‐8‐14優(年3場所の時代の連覇、諸事情で見送り。埋め合わせで単発優勝で昇進。6場所は大関在位期間の全部です)

横綱吉葉山  14準‐11‐15優(当時は年5場所)

横綱玉の海  13優‐10‐13同(北の富士との同時昇進のため、直前成績のみだと微妙。12準‐12準‐13優の見送りの考慮も入っているかもしれません)

 

◎11勝以下をはさんだ見送り例

大関若嶋津 14優‐9‐15優(9が10なら昇進していた。それくらい2場所前の1桁は致命的。横綱の最低限は10勝というのもあります)

大関小錦  14優‐10‐13同(14勝優勝がカド番場所だったのと、昇進基準の厳格化の2つの理由で見送り、のちに13優‐12③‐13優をマークするも諮問もなし、理由は先ほどの理由と同じです)

大関霧島  13準‐10‐14優(今ならほぼ上がると思います。見送りと諮問もしていない理由は昇進基準の厳格化です)

横綱貴乃花 14優‐11‐14優(今なら上がります)

      14優‐11‐15優(諮問をされて初めて昇進しなかった見送り例、翌場所15優で昇進)

 

昇進基準が明らかに上がっているという感じは否めませんが、近年緩和されているのも事実。飛び石実績で上がるのかどうかも見どころです。

 

【関脇琴ノ若】(使者を迎えて受ける口上を述べた時点で大関なのでここでは関脇にしておきます「2024年1月28日時点」)

3世代にわたって関脇以上を達成している稀有な家系(父の琴ノ若は婿入りなので男子直系ではないです)入門当初から、周囲の期待を一身に背負い22場所で十両に昇進、十両は全て勝ち越しで4場所で通過、入幕後13場所で上位総当たり圏内で初めて勝ち越し(総当たり圏内の番付け自体は2回目「1回目は途中休場」)、入幕17場所で三役昇進、総当たり圏内での皆勤負け越しなし。ひざの怪我で少しゆっくりとした歩みになっていますが、地位に応じて強くなっている感じはあります。三役昇進後は全て勝ち越し、R6①場所後の大関昇進が予定されています。以下、三役昇進後の成績の流れです。

R5① 西小結  8‐7(新小結)

R5③ 西小結  9‐6

R5⑤ 東小結  8‐7

R5⑦ 東小結  11‐4

R5⑨ 東関脇2 9‐6(新関脇)

R5⑪ 東関脇2 11‐4

R6① 東関脇  13‐2同

まず、目につくのが、R5⑪場所後です。三役で3場所31勝、2桁勝利2場所。この場所もサイレント大関取りでした。12勝の優勝あるいは13勝以上だとここで上がっているはずです。積極的に上げるほどの星ではないですし、番付が関脇3番手ということも結構マイナスに効いてると思います。番付が東関脇であれば取り組み編成上においても、ラストの4強リーグですし、印象も変わっていたはず。ですが星が十分というわけでもなく、個人的には上げてもいいと思いましたが、賛否両論でしょう。新関脇からの関脇2場所通過は北の湖千代の富士しか思い当たりません。(もしかしたらほかの例もあるかもしれません)そういう経緯で迎えたR6①場所。昇進的にはサイレントと正式の中間位の感じで初日を迎えた感じです。、途中休場者が多く(特に豊昇龍の途中休場はいたしかたないとはいえ、琴ノ若だけでなく全体的な影響も大きくなにより豊昇龍自身も相当悔しい思いをしたことは察してあまりあります)環境的には恵まれていると言わざるを得ませんが、恐らく内々のラインは12勝、11勝でも優勝なら検討すると言ったところなような気がします。R6①場所は内容的にも破綻はなく、それゆえに13勝まで行けた感はあります。内容的にも12勝で当確でしょう。直前成績、三役で3場所33勝、2場所連続11勝以上(難易度的には3場所連続10勝以上と同じ程度かと思います)、3場所前の1桁は跡形もなく消え去った印象で、文句なく昇進が内定。今後の活躍が楽しみです。

類似の昇進例は千代大海の9‐10‐13優、三役で3場所32勝、優勝を含む、3場所成績だと星が1つ違いますが直前場所優勝に加えて上位者に対する逆転優勝(本割終了した時点で相星だった横綱若乃花Ⅲを決定戦で破る)なので、ワンランク上の成績と評価されている感じがします。

11勝でも優勝してしまう時が近年増えている気がするので(それでも5年に1回というくらい)これも考慮する必要もありそうです。ただ、横綱昇進に関しては直前2場所は最低限25勝は欲しいですし、そもそも直前場所が11勝の優勝だと昇進できる気もしません。25勝を基準にすると11勝優勝を含む連覇だと11‐14か14‐11の組み合わせしかないです。しかも、これが可能なら14勝で優勝した時点で昇進している可能性が高いです。カド番からの連覇や休場明けでこの成績を出されると悩ましいですね。

 

以上 2024年1月28日了