横綱昇進と見送り(7):明暗を分けた外国人力士

63代横綱に昇進する旭富士大関昇進に対して2場所先行しているのが大関小錦。幕内優勝3回、3場所36勝以上5回を記録した、当時だと最強大関。なのですが、大関陥落以降も平幕で取っていたため、評価が下がっている嫌いがある。

大関小錦

S62⑦ 9‐6(新大関

S62⑨ 12‐3(ここで旭富士大関昇進

S62⑪ 8‐7

S63① 13‐2〇(旭富士優勝)

ここら辺までは旭富士と互角。

ここから3場所連続8‐7の後に、

S63⑨ 3‐12(ここら辺がケチのつき始め)

S63⑪ 10‐5(カド番脱出)

H01① 3‐9‐3(再度カド番)

H01③ 10‐5(カド番脱出)

H01⑤ 9‐6

H01⑦ 8‐7

H01⑨ 5‐10

3回目のカド番で迎えた

H01⑪ 14‐1◎(初優勝)

H02① 10‐5(5連勝5連敗5連勝での10勝)

H02③ 13‐2△(巴戦による同点)

この時点で玉の海の昇進例よりも成績は上。議論になってもいい成績ではあるものの、H01⑪がカド番であったこと。その時点で3回目のカド番であったこと、大関時代の成績が特段抜群ではなったことを考慮すると、どうにでも評価できる成績。その時点での評価は『全く評価にならない』だった。(審判部のアナウンスが全くなかったので)

その後、(12‐10‐9‐10‐0(初日休場))の5場所を経て

H03③ 9‐6

H03⑤ 14‐1△(優勝旭富士(同点))

H03⑦ 12‐3〇(優勝平幕琴富士14‐1)

H03⑨ 11‐4(優勝平幕琴錦13‐2)

この時点で2回目の3場所37勝達成。

H03⑪ 13‐2◎

H04① 12‐3(2差3位、優勝貴花田14‐1、次点曙13‐2)

H04③ 13‐2◎

この時点で大関の3場所のキャリアハイは実現(38勝1回・37勝2回・36勝2回)。H04 ③後で考えると大関で6場所75勝。直前3場所38勝、直前3場所で2回優勝。でも、見送り。横綱不在になるのはH04⑤前に北勝海が引退する時なので、限りなく横綱不在の状態。それでも昇進させなかった。なぜ?

H04①の2差3位が全く評価に入っていない。大関の飛び石優勝も若島津の(14◎‐9‐15◎)以来。大関取りでは2場所前の1桁はハンデになる。綱取りでは2場所前の11勝がハンデになる。決定的なハンデがある若島津(挟んだ1桁)とは違って小錦は12勝。綱取りを考えた場合12勝を挟んだ13勝の優勝は状況次第。でも、この時は次点でない12勝はダメという判断以外にはないと思う。それ以前に40勝見送りという無茶(旭富士見送り)をした後なので、どんな無茶も通ってしまう感が半端なかった気がします。12勝は点差にかかわらず12勝なのですが、点差を考慮してしまうといくらでも逃げ道ができてしまう。

賛否両論あるかとは思いますが、現時点(H30年度)でこの成績を残せば、恐らく昇進です。

 

この後を追ってきたのが

【64代曙】

H04①関脇で13勝を挙げた後、8勝を挟んで、H04⑤で13勝で優勝。一気に大関へ。

その後

H04⑦ 全休(新大関

H04⑨ 9‐6

H04⑪ 14‐1◎

H05① 13‐2◎

大関全休によるカド番を3勝6敗から6連勝で切り抜け、連覇で昇進。一見文句が付けられない成績なのですが、1桁後の2場所で27勝。1桁後の連覇での昇進はこれまでであれば全て2場所28勝を満たしています。(栃錦琴桜旭富士:連覇ではないですが1桁後の勝ち星としては鶴竜も2場所28勝はクリア―:というより1桁後に連覇でなく昇進したのは鶴竜のみ)なので、きちんと昇進を阻害する要因があるのですが、当時の審判部は全く無視。優勝したから文句なし、な感じで昇進を決めた感じです。ただ、1桁の後の連覇でも3場所36勝を満たしている点が救いです。(以降3場所36勝未満で昇進したのは武蔵丸のみ)

ただ、小錦と比較した場合3場所38勝の小錦に対して曙は3場所36勝、小錦は飛び石優勝に対して曙は連覇。横審の規定は『連覇及びそれに準ずる成績』。これでは勝ち星の数は物の数には入らないと言っているのも同然です。ですが、ここでの小錦(13◎-12-13◎)と曙(9-14◎-13◎)直前2場所で言えばそれは曙の方が上、ですが、小錦の3場所前の13◎が全く考慮されていない。直前3場所成績では明らかに小錦の方が上です。

横審の基準はあくまでも『大関で連覇』なので、『準ずる成績』が直前2場所だけなのか3場所前を含むのか、分かりずらいです。ですが(8-12◎-12◎)という連覇が全く考えられないわけではないので(もしくは8-12◎-13◎)、こういうことに対する直前3場所を考慮していくことが準ずる成績を補完していくことになるのだと思います。(8-13◎-13◎)の武蔵丸の昇進(特段の事情がある場合(千代の山柏戸))は特例昇進例を除いた場合、直前3場所で36勝未満で昇進した唯一の事例。

やはり、本割勝ち星が軽視されている感じです。

 

見送り例

小錦 14-1◎ 10-5 13-2△

   13-2◎ 12-3 13-2◎

昇進例

曙  9-6 14-1◎ 13-2◎