横綱昇進と見送り(6):不運に泣いた旭富士

【63代】旭富士

S62⑪ 11-4(新大関

S63① 14‐1◎

S63③ 12-3(1差3位:13勝2人の決定戦)

横綱昇進を考えるなら直前場所、優勝でない12勝は論外だが、63年1月と3月が逆ならばどうだろう? 当時の雰囲気なら当然見送りになるけれど、30年経た今ならば日本人なら昇進する可能性が高い。

S63⑤ 12-3

S63⑦ 11‐4

S63⑨ 12‐3〇

S63⑪ 12‐3〇

H01① 14‐1△

H01③ 13‐2〇

H01⑤ 13‐2△

S63⑤から千代の富士の連勝が始まったため、横綱昇進という観点では優勝を争えていない。だが、昇進に値しない成績ではあるものの、S63③時点で3場所37勝を達成している。3場所37勝を達成し、横綱に昇進していない大関旭富士以前では若島津しかいない。(のちに大関小錦が3場所38勝を大関で記録:若島津も3場所38勝)それを考慮するとH01①後は勝ち星は3場所38勝、直前場所14‐1の優勝同点、実績も次点+同点、今ならばほぼ問題ないレベル。でも当時は次期横綱は絶対連覇感が蔓延していた。双羽黒の事件から1年ちょっと、致し方ない面はあるものの、かなり厳しい基準を設けている感じは否めない。その後H01③で13‐2の次点。H01③場所は12‐2で旭富士は千秋楽を迎える。千秋楽の相手は14日目で14連勝で優勝を決めている千代の富士。当然本割で勝てば少なくとも議論の対象になる成績。(3場所39勝、直前2場所同点+次点)でも、対戦相手である千代の富士が14日目の対戦で脱臼。千秋楽は千代の富士休場のため休場の時点で早々に見送りのアナウンスが審判部から出る。はっきり言えばこの成績で昇進できなければ、どんな成績も認めないと言っているレベル。旭富士以前の横綱昇進者で3場所39勝を達成している横綱の方が少ないので、これを見送るなら最早以前の基準は通じない。この時点で、恐らく3場所40勝を超えても連覇でなければ見送るというコンセンサスが審判部内で浸透していると思われる。H01⑤場所も13‐2で決定戦に進み、決定戦では負けたものの、3場所40勝、同点+次点+同点の実績、直前2場所26勝、どれを見ても否定的な面はない。でも、昇進は見送り。見送り理由は決定戦の負け方が悪い、だった。つまり本割成績では文句が付けられないので、決定戦に見送りの理由を付けたと言われても仕方がない状況。(ここまで3場所40勝の見送りはもちろん39勝の見送りは旭富士H01③後以外には皆無)本割実績では文句ない、でも優勝が含まれていない(直前3場所で)ので見送り。この時点ではこのような酷い見送りはなかったので、余計に酷く見えた。その後

H01⑦ 8‐7

H01⑨ 9‐6

H01⑪ 8‐7

H02① 9‐6

H02③ 8‐7

H02⑤ 14‐1◎

40勝後のH01⑦場所は取りこぼしも多く1桁の8勝。これを見て昇進させなかったからよかったとは思わないで欲しい。昇進はあくまでもその時点で昇進にふさわしいかどうかだけなので、その後の成績はあくまでも大関としての成績であって、昇進していれば違っている可能性が高い(途中休場か10勝以上か)H02⑤場所で優勝した旭富士は、綱取り場所となったH02⑦場所で14‐1の連覇を達成して横綱に昇進する。でも、旭富士に関しては昇進しても問題のない成績が昇進以前に3回はあった。にもかかわらず、あくまでも連覇昇進にこだわった当時の首脳陣の責任は重い。当時は二子山理事長だったが、そもそも二子山理事長(若乃花)じたいが(11‐12〇-13◎)のギリギリ昇進。当時審判部長だった柏戸はもっと酷い(10-11-12△)昇進。こんなやつらに昇進を支配されているのかと思うとやり切れない感じはありますが、まぁ相撲界ということで仕方がないですかね~

旭富士が、かなり高いハードルをクリア―したため、次の横綱はさらに過酷になります。

 

見送り例

旭富士 12-3〇 12-3〇 14-1△

    12-3〇 14-1△ 13-2〇

    14-1△ 13-2〇 13-2△

昇進例

旭富士 8-7 14-1◎ 14-1◎